鑑識眼

見分ける力の話

 


視力の数値は、もともと軍隊において、人間大の標的をどこまで認識できるかというもの。1.0なら、1キロ。2.0なら、2キロ先まで識別できる。というものだ

という(Otsune氏がどこからか拾ってきた出所元不明な)ネタがとてつもない勢いで拡散されてる。

視力1.0とか視力2.0とか言うのは、ランドルト環(例のCのような輪に切れ目のある印)を用いて、見分けられる最小の環の切れ目の幅と、眼と環の距離の関係から求められる「視角」を基に、"分"単位で表した視角の逆数で表している。あくまでも数学的な「視角」が基準になっていて、人の大きさとかは全く関係ない。

 

ランドルト環はフランスの眼科医エドマンド・ランドルト (Edmund Landolt 1846-1926) によって開発され、彼の名前がそのまま名称となっている。1909年にはイタリアの国際眼科学会で国際的な標準視標として採用され、国際標準ランドルト氏環と呼ばれる

視力 - Wikipedia より


日本では直径7.5mm、太さ1.5mm、の円の一部が1.5mm幅で切れている環を5m離れたところから見て正確に切れている方向がわかる能力を「視力1.0」としているが、この視角を距離1キロの場合で考えると、見分けられる大きさは30cmで、「人の大きさ」には全然満たない。


私としては、気になった話を、とりあえずRTしたり、シェアしたりするのは原則構わないと思っている。少なくとも(自分が確度の高い情報だけを得たいからと)「お前らがちゃんと調べてからシェアやRTしろ」というような、他人に情報選別の責任なすりつけるような卑怯なのは論外だと思っている。すると、その「とりあえず」が先行して、結果的に拡散しちゃうこともあるだろう。でも、「気になった」のならちゃんとフォローして確かめた方がよいと思うのだ。ただの「デマ拡散マシーン」に成り下がるよりは。