「バットマン」男の正体

多くの人は、不思議な手品の種を知りたがるが、手品師は種を明かさないのが常だ。というのも、手品はそのの種(真相)を知ってもちっとも面白くないからだ。その点は真相が明かされるのが前提のミステリーとは違う(両方の分野の作品を創る人も多いが)。

 

アマチュアマジシャンの間では、種がばれる下手な演技の事を「不幸の手品」、種を明かすことを「不幸にする」と言う。マジシャンが手品の種を積極的に知ろうとするのは原則自分が演じたいと思う場合だけで、演じる気もない種を詮索してわざわざつまらない思いをしたりしない。

 

バットマンに扮した人物が、手配されていた窃盗犯を捕らえ、警察に突き出したのが報道されて話題になった。多くの人が「バットマン」の正体を知りたがったようで、その後「バットマン」が何者だったのか、その正体も報道されてるようだ。

 

だが、自分が「バットマン」になるつもりがないのなら、知ってわざわざつまらない思いをする必要は無いはずだ。そういうのを「野暮」という。